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RexiのPBW第二弾の学園Xネタを此処で。
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村に到着して……。





「あらあら、いらっしゃい、ティースちゃん」
「叔母上。お久しぶりです」
「おねーさんって呼んでほしいなー」
「叔母上……それは……」

困る僕に朗らかに笑いかける女性。
額に薔薇の冠(サークレット)をもつ彼女は僕の母の双子の妹。
シャルロットと共にこの村で過ごしていたときに
よくお世話になった人だ。
そして今の僕の目指す場所に母と共に立つ女性でもある。

Rose of Eternity……悠久の薔薇。
枯れないまま村と共にあることを許された巫女。
かつて母も、そして彼女も、僕と同じ巫女だった。
それが何故いまも生きることを許されているのか……。
多分それを知ることで、僕が巫女として消えなくても
いい道がみえてくるはずだ。

僕がなんと切り出そうか悩んでいると、叔父が
小さく息を吐くのが見えた。
どうも僕が叔母になにかを言い出そうとしてるのに
気がついたらしい。
……なんだかんだであの人もシャルロットと良く似ている。

「俺はちょっと神殿に出てくる。 ティースにアポは
いらねェだろうけど、アイツに心の準備が必要だろ」
「あら、そうね。いってらっしゃい」

ほわほわとしたようすで見送る叔母の様子に僕は瞳を伏せる。
なんと言い出せばいいのだろう。
言い出したとしても今更ではないだろうか。
「死にたくない」なんて。
これはただの子供の我侭にちがいなくて。
でも……。
唇を噛んだ僕の頭に何かが置かれたような気がして。
顔を上げるとそこには叔母の優しい微笑みがあった。

「どうしたの?」

やんわりと、けっして責める声音ではなく。
それは僕にとって罪人を許す女神の声にも聞こえた。

「僕は……僕が、帰ってきたのは……」
「………」
「もしかしたら、父上や母上、村の人々も裏切る行為を
するのかもしれません……でも、どうしても、僕は……」
「ティースちゃん」

口元に細い指先が当たる。
再び俯いていた僕が再び顔をあげると
そこには先ほどまでとかわらない叔母の笑顔。

「ここには私とあなたしかいないわ。いってごらんなさい」
「……僕は……生きたい、です……」

ただ一言だった。言いたいのはこの一言だけ。
この一言のためだけに僕は村に帰ってきた。
再び俯いた僕。
それを咎めるような声はなく叔母はただ静かに僕を抱きしめてくれた。

「贖罪の巫女を、やめたいのね?」
「……はい」
「今が貴方にとって一番優しい時間なだけかもしれない。それでも?」
「僕には大事な人がいます。たくさん、たくさん、傷つけた人も居る。
僕は彼らを忘れて逝くことなんてできない……」
「……それは自己満足かもしれないわ」
「それでも……」
「そう……わたしはね、いいと思うのよ?
私も大事な人の為に贖罪の巫女にならなかった。
死ぬときは共にと願ったから。でも、大きな厄災はおこらなかった」

それは誰に聞かせているのかわからなかった。
そんなの巫女であれば誰でもしっていること。
でも、僕は「何故そんな話を?」と聞けなかった。
叔母の声はとても静かで、真剣だったから。

「もう、古い因習にしがみ付かなくてもいいのかもしれないわ」
「でも……きっと祖父様は許さないのでは……」
「それはね、親が考えるべきことよ。
でも、少しどたばたするでしょうね……」
「?……それはどういう?」

首を傾げる僕に、叔母は返答せずに微笑んだだけ。
そう、僕はまだしらなかった。
家の外に誰がいたのか。この夜に何が起こる事になるのかを……。



~~



「お前が何をしようとするのか当ててやろうか」

妙ににやにやとしながら目の前にいる義弟が笑う。
ティースが帰ってきたことも教えぬまま
私を此処に連れてきた張本人だ。

「義父には崩去してもらうってとこだろ」
「不穏なことをいうんじゃない」
「違うのか? 代々の、巫女の父親の恒例行事、だろ」

そうだ。巫女は此処何代も死んでいない。
いや、死んでないというのはおかしい。
ただしくは、人形を巫女として殺しているのだ。
そして大神官である、祖父を排除し、代替わりをする。
それが子供たちに教えていない、この村の秘密。
だが義父はデュルガーを恐れて
ティースを殺そうとしていた。
ルミナが強いものはデュルガーもまた惹き付けるから。
私もそれをわかっていた。勿論、妻も、だ。
ルミナをもっていなければ、巫女から降ろすことも
容易であった……。
だが彼はルミナをもち巫女として育ってしまった。
心も感情も育たなかったと諦め、嘆いていたのに。

――僕は、生きたい……です……。

生への感情を、執着を見せてくれた。
嬉しいのと同時に、恐怖がこみ上げた。
私はこの手で人を殺めなくてはいけないのかと。

「……私は、どうすればいい」
「そんなのひとつだろ」
「………」
「お前が出来ないなら、俺がやってもいいぜ。
人を殺すって言うのは、動物を狩るのと一緒で
一瞬で終わるもんだしな」

息を呑む。あっさりと言い切った。
彼はこの村の人物ではない。どこで何をしていたのかもしれない。
だが、いま、彼は動物を狩るのと一緒といった。
つまり殺した経験がある、と、いうことではないのか……?

私が、下した、結論は……。

「いや……私が、やろう。この村のしきたりはこの村の者がやるべきだ……」


~~翌日~~



「ティース、君に、これを」

父から差し出されたのは、母や叔母と同じ薔薇の冠。
それを与えられる、その意味は。

「いい、の、ですか……?」

見つめた僕に父も母も何も言わず。
ただ僕に寂しげに笑って見せるだけで。

「ティース!さっさといくぞ!学園に戻るんだろ」

叔父の言葉に我に変えると、父と母に頭を下げた。
そんな僕に父は一言。「今、幸せかい?」と問うたから。
僕は笑みを返して頷き、学園への帰路に着いたのだった。
その後の父の呟きなど知らずに……。





------------------------




「私は、とても、大きな罪を負ったのに……かい?」

薔薇の色は血の色。
誰かの為に、誰かが死んだ。
故に、その薔薇は、誰かを犠牲にして生き延びた咎人の証







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プロフィール
HN:
祈神蒼珠
性別:
非公開
趣味:
小説の創作・小説、漫画の読書・一人カラオケ・ネットゲーム
自己紹介:
初めまして。
祈神蒼珠と申します。
性別は女です。

とりあえずフォルクを見て
頂くとわかりますが
基本は無害……で……す?

Rexiの第二弾PBWで
ある神代七代学園Xを
プレイしています。

以下、持ちキャラ。


フォルク・ノクターン(xa5411)
ローザティア・エルプス(xa5829)
ティース・ハルモーニ(xb0002)
シャルロット・ミューラー(xb4007)
アリア・フォルトーネ(xc0025)

フォルクは陽パドマ
ローザは風ヴォル
ティースは陽キュベ
シャロは風パドマ
アリアは月キュベ
……です。

此処では学園Xの話が
主になります。
コメは大歓迎です。
……出来ればコメ初回は
名乗ってくださると
嬉しいです……(涙)



めっせんじゃ

sousyu01(によによ)live.jp

なんだか笑ってるようにしか
聞こえない擬音を@に変える
といいと思います。
この際も名乗ってくれると
意思疎通が取りやすいやも(爆)
メールアドレスでも
あるのでCPに余裕がなければ
此方から連絡頂ければ
余裕で連絡が繋がります。



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