忍者ブログ
RexiのPBW第二弾の学園Xネタを此処で。
10<<    11  /  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30      >>12

[126]  [125]  [124]  [123]  [122]  [121]  [120]  [118]  [112]  [110]  [109]  





帰る道中……ティース視点。




ローレックからでるゴーレムシップに乗って港町ウラートにたどり着く。
ここから更に船に乗ってウーディアに行き、馬車で一週間。
そこから歩いて3日。
そこに僕らの暮らしている里はある。

「すこし長い道中になりそうですが……」

僕は船の甲板にでて小さく息を吐いた。
ローレックでは今頃、委員会の招致結果が出ているころだろうか?
僕は数万いる学生の中の一人でしかないから深く突っ込まれない限りは
僕がローレックにいないということを知られることはないだろう。
一年前の僕は何も考えないようにしていた。
多くのことを考えないようにしていた。

故郷のこと。
未来のこと。
現在のこと。

だから、色々な人を戸惑わせたのかもしれない。
悲しませたのかも。

「ちゃんと……話さなければ」

そして今度はちゃんと、皆に認めてもらおう。
両親だけでなく、村の皆に。
僕が学園で過ごして、卒業した後も生きていきたいって事を。

ウラートから帆船に乗って約1日過ぎた頃、ようやく僕はウーディアの港町にたどり着いた。
さまざまな市場が並び活気に富んだ港を過ぎて町の中心街向かう。
なにしろ食事をとることを忘れていたから体がひたすら空腹を訴えているのだ。
たぶん宿屋にいけば軽い食事はとれるだろう。
しかし、なんというか、この時の僕は本当に注意力に欠いていたと思う。
結果として……所持金が奪われたわけで……。
銀貨の入っていた袋をまさぐり、呆然と立ちすくむ僕に声をかけて来たのは
意外な人物だった。

「よう。なにやってんだ、チビ助」
「叔父上!?……え、えっと、その……」
「ははーん、さては……スられたか」
「う……はい……」

否定のしようもない。それに言い訳をすべきところでもない。
僕は事実をありのままに認めると、頭を垂れて溜息をつく。
そんな様子を叔父はしばらくながめていたが、「なんで戻る気になった」と問いかけてきた。

「え?……叔父上がなぜそれを?」
「馬鹿息子からシフール便が届いたからに決まってんだろ」
「シャルロットからですか……」

なんとなく想像はついた。
おそらく僕がローレックを発った当日にシフール便を渡したのだと思う。
シフールは確かに遊び者ではあるが配達の仕事だけはちゃんとしている。
それはシフールに手紙を渡せば願った相手に即届くという噂までうまれるほど。
とはいえ、叔父も村から出てきたわけではなく、たまたま仕事の出先で
この町にいたのだろうけど。
難しい顔をしていたのかはわからない。
でも叔父に急に乱雑に頭を撫でられたので顔を上げる。
そこにはとても人の悪い笑みを浮かべた叔父の姿があって。

「まずは飯だな。チビ、さっきから口じゃなくて体が訴えてんぞ」
「は、はい!? 聞こえました!?煩かったです!?」
「おーおーうるせーうるせー。ほら、さっさと歩け。でないと飯無しで出発する羽目になんぞ」
「そ、それはいやです! ま、待ってください……っ!」

叔父は先に行ってしまったから、どんな表情をしていたのかはわからないけど。
どこか安心したような声音をだったように思う。
そして僕は先を行く叔父の背中を追いかけて食事にありつき、村に向かって出発したのだった。


馬車に揺られて向かう先は巨大な森。
そこに辿り着くには、途中で馬車を降りなければいけなくて。
不思議そうに見つめる御者の人に礼をいう。
馬車を見送った僕と叔父は一度顔を合わせて頷き合うと森の中へとはいっていった。
ここから二日。進んだ先が、僕らの村になっている。

「そういや気付いたんだが」
「はい?」
「あの糞餓鬼がお前の真似を出来ると思えないが……
マジで勝手に抜け出してよかったのか?」
「………」
「お前……本当に妙なとこ親父に似たのな」

苦笑交じりに頭を撫でた叔父に苦笑を返す。
父に似ている。
それはとても嬉しいことでもあるけれど僕は父を深くは知らない。
初めて向かい合ったのは、学園への入学許可が出たときだから。
愛してくれてるのは知ってた。
でも、それに実感を持つ前に、僕は学園に来てしまったから。

「父とも色々話したいですね……」
「そんなのアイツの前でいってやれ。泣いて喜ぶぞ」

にやにやと面白そうに言う叔父を不思議に思う。
確かに父は情に脆そうだけど、僕がそんなことを言った位で
泣くだろうか?
叔父は僕の顔をみてそんな僕の気持ちに気付いたかのように
眉根を寄せて、そして溜息を吐いた。
「だから親と餓鬼は一緒にいるべきなんだ」と小さく呟いて。
そんな叔父がどんな気持ちなのか……僕にはまったくわからないまま
僕は村に到着した。




拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Font-Color
Mail
URL
Comment
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

secret
   この記事へのトラックバック

  この記事にトラックバックする:

カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール
HN:
祈神蒼珠
性別:
非公開
趣味:
小説の創作・小説、漫画の読書・一人カラオケ・ネットゲーム
自己紹介:
初めまして。
祈神蒼珠と申します。
性別は女です。

とりあえずフォルクを見て
頂くとわかりますが
基本は無害……で……す?

Rexiの第二弾PBWで
ある神代七代学園Xを
プレイしています。

以下、持ちキャラ。


フォルク・ノクターン(xa5411)
ローザティア・エルプス(xa5829)
ティース・ハルモーニ(xb0002)
シャルロット・ミューラー(xb4007)
アリア・フォルトーネ(xc0025)

フォルクは陽パドマ
ローザは風ヴォル
ティースは陽キュベ
シャロは風パドマ
アリアは月キュベ
……です。

此処では学園Xの話が
主になります。
コメは大歓迎です。
……出来ればコメ初回は
名乗ってくださると
嬉しいです……(涙)



めっせんじゃ

sousyu01(によによ)live.jp

なんだか笑ってるようにしか
聞こえない擬音を@に変える
といいと思います。
この際も名乗ってくれると
意思疎通が取りやすいやも(爆)
メールアドレスでも
あるのでCPに余裕がなければ
此方から連絡頂ければ
余裕で連絡が繋がります。



ブログ内検索
ツイッター

Copyright (C) 緑の森の大聖堂 All Rights Reserved. | Powered by NinjaBlog | Template by 紫翠

忍者ブログ | [PR]