ツイッターの方でお題をいただきましたので。

ローザお姉ちゃんで「得意なもの」ですね。

……内容が短くなったので後日追記します(汗)

赤い髪を風に遊ばせながら少女はぼんやりと廊下から窓の外を眺めていた。
物想いにふけるその姿。そんな姿にさせた言葉は級友から言われた言葉だった。

「ローザティアさんって得意なものはあるの？」

そんな簡単な問いに応えられなかった。
級友は責めもせず「いきなりだったかな？　ごめんねっ」と苦笑を浮かべ
他の生徒たちの会話に混じって行った。
謝らなければいけないのはこちらの方だったのに。
その思いもまた、重い気分にさせたひとつの要因だったのかもしれない。
でも一番の原因は……。

「わたし、自分のこと……しらない……ん、だ……」

そう、自分のことをしらない。いままでは知らなくても良かったから。
でも、それじゃいけない。それにようやく気がついた。
だからこそ考えてしまうのだ。得意な事といえる何かを。

言われてみてなんだろうと改めて思う。
貴族の習い事は趣味では無くて、そう一種の嗜みのようなもので。
だからいままで気付かなかったのかもしれない。
いや、気付きたくなかったのかも……。

溜息を吐いた時、そとから大きな歓声が聴こえた。
俯いていた顔をあげると歓声の聴こえた方角に目を向ける。
ローレックルミナスクールはもともと城を学校へと改良させたものであり
教室にはステンドグラスを張っているが廊下には窓へ硝子をはめこまない
当時の作りをそのまま使っている。
ステンドグラスからでは見えない外も廊下からなら見えるということになる。

外では同級生のパドマのクラスの人々が箒を使ったおにごっこをやっていた。
やりかたは簡単。鬼役の生徒が逃げる生徒に触れるだけだ。
ただ使っているのは箒であり、箒を使う事で集中力と注意力、判断力を養えるらしい。
本当かどうかはさておいて。
その中で即座に捕まる青年を見て苦笑した。それは義弟であった。
彼は困ったように視線を動かしたあと、目標を定めて飛んでいく。

「……あ……」

軽々避けられる姿に再び苦笑する。そういえば彼は箒は乗れても飛ぶのは苦手だった。
小さい頃から器用なのだか不器用なのだかわからない彼を見つめてきて。
そしてふと気付く。

「そっか……わたしは……」

言葉で上手く伝えられないから、なんとか簡潔に伝えようと些細な事も
見逃さないように見続けてきた。
義弟が困った時にすぐに手を差し伸べられるように、彼の行動も見続けてきた。
飽きずに、何年も。
それは、得意な事では、ないだろうか？

「……ううん。……きっと、そう、よ……ね……」

風が吹いて目を閉じる。
既にその顔は物想いにふけるぼんやりとしたものではない。
そう、大切なものをみつけたかのように微笑んでいた。

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