いつも一緒にいようね。
だいじなだいじな……。

 

誰かにいわれたような気がする言葉。
教会の人たちとは違う、もっと優しい声。
あれは、いったいだれだったんだろう。
なぜかこの記憶を思い出そうとすると、とても怖い感じがする。
目の前が真っ赤に染まって、とてもこわくなる。

おもいだしたいのにおもいだせない。
きっとこれを思い出すと、とてもこわいこともおもいだす。
そんなきがして。

暗い部屋の中で、何度も膝を抱いた。
怖くて怖くて、泣いて泣いて。
教会で一緒に育った兄や姉にすがって。
朝まで一緒にいてもらったっけ……。

とてもなつかしい記憶の中に。

潮騒ノ音
　　　　　　
　　　　誰カノ叫ビ
　　

　　　　　　　　　　赤ニ染マル視界

アアアアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアアアア
アアアアアアアアアアアアアアアアア

…………目を覚ます。
嫌な夢を、見た。

　　　　　　　　　　　　　―――ユメ？

自分と同じ色の髪の女性が目の前で崩れ落ちる夢。
　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　―――それは本当にユメ？

彼女は、僕に向けて真っ赤な手を伸ばして
覆い被さるように……抱きしめて……

　　　　　　　　　　　　　―――視界が真っ赤に染まる

赤いのは一瞬で、後は真っ暗で……
上にのっかる暖かいものが、だんだん冷たくなって

　　　　　　　　　　　　　　―――暗いのはコワイ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　大好きな人が冷たくなってしまうから

暗闇の中に聞こえるのは海の音。
浮かび上がるのは、焼きついた光景

　　　　　　　　　　　　　　―――崖から落ちていく
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　僕を抱き上げてくれた優しい人

あれはなんなんだろう。
　でも、でも、赤い夢のあとに聞こえるのは優しい声。

いつも一緒。ずっと、一緒。
たとえ世界を隔てても、［私は・俺は］［貴方を・お前を］見守っているから。

あれはだれなのか……。
おもいだしたくて、おもいだしたくない。
とても怖い……けれど、大事な気がする、僕の……。

アカイユメ。


 

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