とても短いSSS

キミに守りたくて、守りたくて

だから守り抜いて

たどり着いた先で、やっぱりキミは笑って逝った


ああ、でも、本当に幸せだったんだなと思う

苦しむこともなく、穏やかに逝けたのだから


じゃあ、僕も、そろそろいこう。


ああ、そうだ。

また、未来で、キミに会えるかな？

会えるといいな、会いたいなあ。






「命？何をしてるの？　公演の途中なんでしょう？」

「うふふ、じゃじゃーん！
姉さんのお腹にいる産まれてくる男の子の名前を考えてたの。
義兄さんがいないぶん、私がはりきっちゃうんだから！」

「もう……しかたない妹ねえ」

「えへへー。双子、なのよねー。うーん……」

「聖夜と雪夜」

「え、姉さん決めちゃってたの！？」

「そりゃあね。大事な息子の名前だもの～」


楽しかった日常。
でもそんな日常も、壊れてしまった。


「先生……姉さんは……」

「問題、ありません。ただ……息子さんの片方は……力が及びませんでした」

「……そんな、そんな……」


そして、姉さんもまた。
その子の後を追うように、体を壊して逝った。

残された子を私は育てると決めた。
幸い学生ながらに貯蓄もあったし、両親も協力してくれた。
名前は姉の考えていた名前を付けた。
一人しか付けられなかったのがもどかしい。
彼は色々と育てるのに大変だった。
魚に対してアレルギーがあったのに加えて、極端な偏食だったのだ。
もしかすると味覚が敏感なのかもしれない。
それでもカレーにすると、不思議な顔をしながらたべてくれた。
それに彼は不思議な瞳の色をしていた。
片方が琥珀色をしていたのだ。
私たちの家も、義兄の家も、琥珀色の瞳をした人物などいないのに。
彼は子供ながらにそれをコンプレックスとしているようだった。

ある日、私は公演のない日を選んでその子と一緒に外にでた。
いつもは瞳の色で苛められるからと、外にでない子を外に出すのは大変だった。
でも一度外に出してしまえば楽しそうに笑っていた。
ほっと一息をつくと聖夜はきょとんとして、私の手をひっぱり微笑む。

「ねえ、おかあさん」

「どうしたの？」

「ぼくね、あいたいひとがいるんだよ」

どきりとした私に不思議そうな顔をして彼は続ける。

「ずっとね、いっしょにいたの。でもね、きゅうにくるしくなってね。
ないてたの。そしたらね、たすけてあげるからだいじょうぶだよって。
そしたらね、あかるいばしょにでてこれたんだよ」

息が詰まって、まともに彼の顔がみれなくなる。
それは、それはきっと、産まれてこれなかった彼の弟ではないだろうか。
なんでこの子はそれを知っているのだろう。
なんでこの子は……。

「おかあさん？……どうしたの？ないてるの？」

不思議そうに首を傾げる彼に、私は『大丈夫』と微笑んで。
震える体を気付かせないように、かれを抱きしめた……。


その小さな命が、けっしてどこにもいかないようにと。





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聖夜は赤ん坊の時の記憶がある子です。
んでもって虚弱児。

雪夜として産まれる予定だったのは元：ティース。

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